-農業の知識や技術は、教えて広げていくもの-
山手一のセロリ職人の目は、農業の未来を見据えている。

 パキッという心地よい音と共に、果汁がほとばしるみずみえずしさ。目を見張るような大きさで香り高く、噛めば甘みさえ感じる。ここ山手は、西日本有数のセロリの産地です。

 山手ヴィレッジからほど近く、のどかな田園風景の一角に、守安さんのセロリ畑はあります。父の代から続く伝統あるセロリ農家で、幼いころからセロリ畑と父の背中を見て育ったという守安さん。山手のセロリ農家の中でも、その生産数はダントツで、今や「守安さんのセロリ」を買い求めに来る人が県内外から後を絶たないほどの人気者。今回は、守安さんのセロリ畑を訪問し、お話を伺う事ができました。

 畑に入ってまず目に入ったのは、「おいしい甘いセロリあります」という守安さんの自信の表れとも取れる大きな看板。そして、その先一面広がるセロリ畑は、まさに圧巻の一言。広大なビニールハウスに、土にしっかりと根を張った元気なセロリが所狭しと並んでいました。

 訪問したのは寒さの厳しい2月の半ば。今は寒さの影響で、セロリの成長が遅いのだとか。しかし、守安さんに言わせれば
「大きくなるのに時間がかかった方が、セロリは美味しい。4、5月頃のセロリは葉が立派で、美味しそうに見えるけど、実は本当にセロリが美味しいのは1月~3月頃なんです。」
との事。今はまさにじっくりと時間をかけ、美味しさと完成度を増している最中なのでしょう。

 そんな美味しいセロリを生産する上で、一番大変な事は何ですか?という問いに対しては
「やはり一番大変なのは温度管理ですね。セロリは、水はそれほど気を遣わなくても元気に育ちますが、温度には細心の注意が必要なんです。セロリの適温は15度~16度なんですが、セロリが育つには、5か月少々の時間がかかります。そのため、セロリが一番美味しい1月~3月に収穫する為には、暑い時期から植えはじめないといけない。セロリって、暑い時期も寒い時期も経験するんですよ。暑い時期は発芽しないので、地下水に冷水を引いて発芽させたり、寒い時期はビニールハウスの中で暖房を炊いて温度を保っています。」
温度管理を行うためには、毎日欠かさず面倒を見る必要があるそうで、最高のセロリが育つ背景には、職人のこうした日々の努力の積み重ねがあるのです。

 職人が長い月日をかけて大事に育てるセロリ。ずばり、プロにおすすめの食べ方をたずねてみました。
「スライスして三杯酢、それと醤油で食べるのが一番美味しいですね。葉はサラダに使うと良いですよ。」
炒め物やスープにしても、もちろん美味しいですが、やはり新鮮なセロリは生でいただくのが一番!という事でしょう。

最後に、セロリ作りに関する知識やノウハウを丁寧に教えてくださった守安さんに、「教えちゃっても良かったんですか?」と冗談交じりに聞いてみると、
「農業の知識や技術っていうのは、教えて広げていかないといけないんですよ。上手に作れないと、(収入の面でも)農業って続けられないでしょう?もっともっとみんなで良い野菜を作って、どんどん広げていかなきゃだめなんです。」

 かつてこの辺り一帯のセロリ農家は50とも60とも言われ、車で走ればセロリの香りがすると言われるほど盛んだった山手のセロリ。しかし、セロリ農家は年々減り続け、今では守安さんを含めて6軒。しかし、寂しがってばかりはいられない。守安さんの目は、しっかりと農業の未来を見据えていました。

山手マルシェでは、守安さんの新鮮朝採れセロリを毎朝10時頃から販売中です。

山手マルシェで販売しているセロリは全て守安さんのセロリです。セロリピクルス漬、セロリの粕漬も、全て守安さんのセロリを使用しています。

バイキングレストランきびきび亭 山手の市